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2007.10.26

ヨーネ病 人への感染例はある

神奈川県は26日、平塚市の酪農家が飼育する乳牛1頭が、法定伝染病の「ヨーネ病」に感染した疑いがあると発表した。ヨーネ病は人への感染例はなく、健康被害はないというが、県の要請を受け、この牛の乳が混ざった可能性のある牛乳を製造した「日本ミルクコミュニティ」(東京都)は、同県や東京、千葉、埼玉など1都6県に出荷された牛乳約62万個の自主回収を始めた。 (asahi.com:牛乳62万個自主回収 「ヨーネ病」人への感染例なしリンク切れ2007年10月26日21時06分 )

人への感染例はなく、健康被害はない」のに何故回収するのか疑問に思い検索したら感染例が見つかりました.

ドイツでは、HIV患者の男性1名が感染。症状は下痢、発熱、体重の減少。感染源、感染経路は不明。またUKでは37名が感染。クローン病の症状(消化器組織に肉芽腫形成、潰瘍、腹痛、無気力、体重の減少、下痢)を示した。うち13名に回腸、10名に結腸、14名に回腸と結腸に病変、14名に肉芽腫形成が見られた。調査(食品安全委員会:110703傍聴者配布用リンク切れ

食品安全委員会のホームページで「ヨーネ菌」でサイト内検索をして表示された文書です.
また「日本ミルクコミュニティ」と書かれてもピンときませんが,「メグミルク」というブランドで牛乳を売っている会社です.

2007/10/27追記:

ヨーネ病は1930年に我が国で初めて発見されて以来、その数は少しずつ増え続け現在は年間800頭以上のヨーネ病牛が全国で摘発されています。本病は主にヨーネ菌の経口感染により広がりますが、潜伏期間が1年以上と極めて長く、有効なワクチンもなく、発症すると治療法もない為、本病が発生すると農家は大きな経済的被害を被ることになります。(動衛研: ヨーネ病研究チームリンク切れ)

年間800頭以上も発生しているのにこれまでヨーネ病という名前を知りませんでした.

ヨーネ病は牛などが下痢を起こす病気で、昨年度は全国で1182頭の感染を確認。製品回収事例はなかったが県は厚生労働省に照会し、念のため自主回収を求めた。(ヨーネ病:乳牛感染の疑いで牛乳62万本を自主回収 - 毎日jp(毎日新聞)リンク切れ10月26日 20時59分 )

昨年は1182頭だったようです.製品回収も今回が初めてなのでニュースにならなかったわけですね.

3.人への感染の危険性

ヨーネ病は反芻動物の病気であるとされてきたが、近年、サルでもヨーネ病の集団発生が摘 発された。すなわち、1980 年に米国のジョージア州の霊長類研究所において慢性下痢で死亡 するサル(Stamptailedmacaquemonkey)の症例が続発した。合計13頭が反賓動物のヨーネ病 と同じような間歇性下痢と削痩(10~70 %の体重減少率)を示した。これらのサルの空回腸 には反芻動物のヨーネ病病変と同じように、類上皮細胞肉芽腫と無数の抗酸菌の増殖が認めら れ、また、糞便からは大量のヨーネ菌が分離された。このことから、ヨーネ菌はサルにも感染 すること、しかも反芻動物と同じような病態を引き起こすことが確認されたわけである。この 報告は、ヨーネ菌が反芻動物のみに感染するという従来の常識を覆し、人への病原性の可能性も無視できないとを暗示することになった。このことは、次に述べるクローン病からのヨーネ 菌分離の報告で現実味を増してきた。

最近、人のクローン病ヨーネ菌との関係が注目されている。クローン病は難治性の慢性下 痢を主徴とする病気であり、ヨーネ病と同じような病変が小腸にできる。1985 年、米国のク ローン病患者の腸管からヨーネ菌が初めて分離された。ところで、この人由来のヨーネ菌は家 畜由来のヨーネ菌とはかなり性質が異なっていた。つまり、トリプシンで消化した腸管材料を マイコバクチン添加培地に10~ 18 カ月間もの長期間にわたり培養したところ、透明なコロニー として検出された。これは抗酸染色で染まらず、また、細胞壁を欠いた無整形な微生物(ス フェロブラスト)であった。ところが、これをマイコバクチン添加培地に継代してゆくと、完 全な細胞壁を備えた杆状抗酸菌になった。この分離菌はDNA 相同試験でもヨーネ菌と100 % 一致したことから、ヨーネ菌と決定された。しかも分離菌を山羊に接種すると腸管にヨーネ病 の典型的病変が形成された。その後、このようなスフェロプラストはクローン病患者26 人中 16 人から分離され、患者由来の30 株のうち6株がPCR検査によりヨーネ菌と同定された。以 上の報告はヨーネ菌クローン病に関わる可能性を示唆している。不思議なことにクローン病 患者の腸管組織を詳細に調べてもヨーネ病の病変のように抗酸菌が検出できないが、これは、 細胞壁を失ったスフェロブラストとして寄生しているためと説明されている。

患者の腸管からのヨーネ菌の分離報告は数例にすぎず、我が国では人からのヨーネ菌分離報 告はない。しかし、前述のPCR 検査法によるヨーネ菌の遺伝子検出法では、本病とヨーネ菌 の関わりが示唆されている。英国のクローン病患者の検査では60 %、また、フランスの患者の 検査では72 %がヨーネ菌のPCR 検査で陽性を示している。家畜由来のヨーネ菌が人に感染す るかどうかは不明であるが、クローン病患者由来のヨーネ菌は、牛由来株とDNAの酵素切断 パターンが同一であったという報告もある。

以上のようにヨーネ菌クローン病の関係が疑われているが、ヨーネ菌が本当にクローン病の原因となることが証明されたわけではない。また、畜産従事者やヨーネ病汚染地域でクロー ン病が特に多発するという傾向もない。しかし最近、畜産食品の安全性管理度、それも生産段 階での病原微生物汚染防止が重要な商品評価ポイントとなりつつある。ヨーネ病畜の枝肉、内 臓、乳汁はヨーネ菌によって汚染される危険性が高い。また、ヨーネ病畜は糞便中に大量の ヨーネ菌を排泄するため、河川水や土壌を汚染することになる。このようなことからヨーネ病 の清浄化は、生産性の向上のためばかりでなく、食品の安全性向上や環境汚染を防ぐうえから も重要な課題である。

日本緬羊協会:めん羊・山羊の特定疾病手引書リンク切れ平成10年3月

この引用部分の著者は家畜衛生試験場の方です.

これまで、ヨーネ病に感染の疑いがある乳牛がいた場合、初回検査の結果が出るまではその牛の生乳を使った可能性のある乳製品は回収していなかった。しかし、福島県内で今月、同じ家畜法定伝染病のブルセラ病に感染した疑いのある乳牛が確認された際、検査結果が出る前の乳製品も回収するように厚生労働省が指導。これを受け県は同省と相談し、同社に回収を要請した。
(乳牛がヨーネ病感染の疑いで牛乳62万個回収へ/平塚 : ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞リンク切れ)

検査後の牛乳を回収するのなら検査前の牛乳も危険性は同じなので回収を指示して当然ですよね.

2007/10/29追記:
いろいろ調べた結果ヨーネ病の簡易検査に問題があり国会でも取りあげられていた事がわかりました.ヨーネ菌は培養がむずかしく,菌の分裂速度が遅いので確定診断に3ヶ月もかかるそうです.

一般的にエライザ抗体検査を含め、抗体検査の特性として、疾病にかかっていない家畜であっても陽性を示す可能性があるものと認識している。このため、都道府県におけるエライザ抗体検査を用いたヨーネ病の確定診断に当たっては、複数回の検査を行うなど、正確な診断に努めるよう指導しているところである。
(参議院議員紙智子君提出ヨーネ病問題に関する質問に対する答弁書リンク切れ)

今回の乳牛も無実なのかもしれませんが,今のところどうしようもないようです.

2007/11/06追記:

県は五日、家畜法定伝染病のヨーネ病に感染している疑いが持たれていた平塚市内の乳牛を再検査した結果、陰性だったと発表した。感染の疑いは晴れたが、日本ミルクコミュニティ(東京都)はこの乳牛の生乳を使用した可能性がある牛乳約三十一万個を自主回収、廃棄しており、多額の損害を被った。
(平塚市内の乳牛ヨーネ病再検査で陰性/神奈川県 : ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞リンク切れ)

無実だったようです.

2012/06/23追記:
2011年の全国での発生件数は家畜伝染病発生情報データベースによると613頭だったようです.

赤字は私が修飾しました

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